2003年4月15日2限
堀信一 大腸肛門外科助手
シラバスでは渡邊助教授担当でしたが,変更になりました。この講義の前半は「結腸癌」についてでした。
「直腸,肛門」のレジュメはたくさんの用語が羅列されていますが,授業時間はわずか20分あまりでした。
この回の プール問題はこちら です。
もはや試験対策になっていないと思われます。[2003-08-30]
下部直腸がんに対する低位前方切除術で切除範囲に入るものはどれか?(2002本試)
- (1) 上直腸動脈周囲リンパ節
- (2) 上腸間膜動脈周囲リンパ節
- (3) 下腹神経
- (4) 外肛門括約筋
- (5) 第二ヒューストン弁(腹膜翻転部)
- a. (1) (2) b. (1) (5) c. (2) (3) d. (3) (4) e. (4) (5)
答えは 過去問 参照。この程度はもう大丈夫だというひとは、このシケプリは無視しましょう。
ここにでてくる疾患を,世間ではひとまとめにして「痔」とよんでいるわけです。
「痔」のなかでいちばん多い疾患です。
内痔核とは歯状線より口側から発生したものをいいます。出血にくわえ,ひどくなると肛門外にとびだし(脱出)ます。治療法としては――
外痔核とは歯状線より尾側から発生したもののことです。内痔核とちがい,手術で切除する必要があります。「日帰り手術」がよく行われています。
歯状線にある肛門陰窩から細菌が侵入して,内肛門括約筋をつらぬく肛門導管をとおって肛門腺に到達します。そして感染がおこり,膿瘍を形成する疾患です。
治療は切開して膿を出すのが原則です。ただ,大部分の患者さんがいずれ痔瘻に進展します。
痔瘻は肛門周囲膿瘍はひきつづいておこる疾患で,ひらたくいえば肛門陰窩から皮膚にトンネル(痔管)ができ,そのトンネルのなかでも細菌感染感染がつづくような状態のことです。
治療は手術療法です。肛門括約筋ごと痔管を切除する開放法と,括約筋は切らずにを痔管をくりぬく括約筋温存術があります。
プリントにある「Goodsallの法則」とは,肛門を肛門をとおる横線で前後に分けるとき,
ことが多い――というものです。
いわゆる「切れ痔」のことです。下剤で便を柔らかくすることで,かるい切れ痔は治ります。
それから「痔」とはいわないでしょうが,「異物」(けっこうあるらしい……!)や良性腫瘍もあります。
この講義のもうひとつのテーマは直腸癌です。分類と診断については,結腸癌とほぼ同じなので,ここでは治療法が中心です。
さまざまな手術法名が列挙されています。どこまで覚えていいのか判然としません……
腫瘍切除とリンパ節郭清が重要なのも,結腸癌の場合とおなじです。
それぞれの手術の図解は教科書をみてください。
低位前方切除術(LAR)などで断端どうしを吻合するときは,double stapling technique(DST)法という器械吻合術が用いられるようになり,手縫いによる端々吻合術より簡単に行えるようになってきました。器械吻合術は括約筋温存術普及の立役者だそうです。
リンパ節転移の可能性がないのであれば,術後のQOLもかんがえ,局所切除術が望まれます。
直腸の局所切除術として,経肛門的切除術・経仙骨的切除術・経括約筋的切除術があります。また経肛門的内視鏡下マイクロサージェリーtransanal endoscopic microsurgery(TEM)という内視鏡手術もあります。
根治をめざして自律神経が傷つこうとも拡大リンパ節郭清術をおこなうか,排尿機能・性機能といった術後のQOLを考慮して上下腹神経叢や骨盤神経叢を温存する自律神経温存術をおこなうか,という問題です。
ごめんなさい,手もとに残っていません。もっている方は教えてください。
正確ではありませんが、「Miles手術」や「TEM」についての正誤問題がついていたそうです。