2003 M2のぺーじ

ステップ1参考書、問題集の紹介

M3 石垣和慶

I ステップ1を受けた感想

自分はM2の1月のときに学年のステップ1勉強会に参加しました。そしてステップ1を実際に受けたのがその年の11月2日。自分はサッカー部に所属しているので、勉強時間が十分に取れなかったとは思いますが、それでも約10カ月で十分な準備ができました。

もちろん10カ月の間そればっかり勉強していたわけではなく、系統講義のテスト勉強やBSLの勉強などと平行しながらダラダラとやっていたわけで、長期休みを利用して集中的に勉強すれば短期間で完成できるのではないかと思います。皆さんも頑張ってください。

II 参考書、問題集

それぞれを5段階(☆の数)で評価しました。

(1) First Aid for the USMLE STEP 1(参考書兼情報集)……評価:☆☆☆☆☆
この本には本当にお世話になりました。何度も繰り返して読みました。
大きく分けてi) STEP 1の各教科の要点集、ii) USMLE受験一般についての情報、iii) 各教科の参考書・問題集の紹介、で構成されています。
i) は非常に簡潔にまとまっているので、本番前には非常にありがたいです。実際に試験を受けてみて、この本で強調されている重要項目は本番でも頻出項目なのだと実感しました。だからこそこの本を強く推薦します。特に薬理、微生物などの範囲が膨大な科目はこの本に載っている項目を中心に勉強するのが効率良い方法だと思います。
受験本番までにはこの要点集に載っていることはだいたい理解しているのが理想です。
【欠点】 あまりに簡潔なので、勉強を始めたばっかりの時期には向いていないです。ある程度の勉強が終わった時期に向いています。また、説明不足の箇所は自分で調べて補う努力も必要。
(2) Step Up: A High-Yield Systems-Based Review for the USMLE(参考書)……評価:☆☆☆☆
この本も要点集です。図が比較的多く記載されていて、タイトルにあるように教科別でなく臓器別にまとめられています。First Aidに比べると説明が多く、読みやすいです。各章の初めに発生学について簡単にまとまっているのも使えます。Fisrt Aidに載っていないような内容も載っていたりします。First Aidの足りないところを補ってくれる本と言えるかも知れません。また比較的コンパクトにまとまっている本です。
【欠点】 ときに非常に細かいことまで載っているので注意が必要です。First Aidに比べたら細かいところまで扱っている印象を受けます。通読しようとすると意外に時間がかかってしまうので注意が必要です。僕はつまみ食い程度に利用しました。
(3) Appleton & Lange's REVIEW for the USMLE Step 1(問題集、通称"A&L")……評価:☆☆☆☆
自分が最も利用した問題集です。問題と解説からなる本です。適度な難易度の問題が各教科150題ほど用意されていて、最後に数百題の総合問題が載っています。この本を一通りやれば、全体のイメージがつき自分に何が足りないかが分かると思います。早いうちに全教科を広く薄く一通りこなしておくことが大事です。教科によっては日本の基礎科目とはイメージが異なるものもあるので、早い段階で全体のイメージをつかんでおく事は損にはならないでしょう。別にこの本に限らず、他の問題集をやるにしても、各教科100〜150題程度で、一通り全体を通せる本をお勧めします。
【欠点】 頻出項目から外れた問題も少なくなく、特にbehavioral scienceはかなり外れていたと思います。あと解説が短いので、ときどき自分で調べることも必要になると思います。
(4) Board Review Series-behavioral science(参考書兼問題集)……評価:☆☆☆☆
Board Review Series(BRS)は、各分野ごとに1冊あるシリーズで、僕はbehavioral scienceだけを用いました。各章の前半は比較的詳しい解説で構成され、後半はその内容に関する練習問題と解答です。まったく基礎知識がない教科、かなり苦手な教科を勉強するには良い教材だと思います。僕はbehavioral scienceについてまったく基礎知識がなかったのでこの本を使うことに決めました。
【欠点】 僕はbehavioral scienceのことしか分かりませんが、全体を詳しく述べすぎており、頻出項目以外も丁寧に解説しています。どれが頻出項目かが分からないので、点数効率を上げるにはポイントを絞って用いるのが良いと思います。しかし非常に読みやすいので、STEP 1関係なく、医学一般の知識を伸ばすために通読する価値はあるかもしれません。ここで上げている本の中で最も分かりやすく、読みやすく、解説も丁寧だと思います。
(5) PreTest(問題集)……評価:☆☆
生協にたくさんおいてあり、全部で9冊ほどあります。僕はpathology、pathophysiology、neuroscienceは全部やり、残りの教科はつまみ食い程度しか使いませんでした。良い点としては、1冊ごと難しい問題が500題、それに詳しい解説がしっかりついていることです。解説の詳しさは他の問題集には多分負けません。ハンディーサイズというのも意外にありがたかったです。各本の初めにHigh-Yield Factsという章があり、First Aid的な要点集として活用できます(但し、教科によっては数ページしかないものもある)。
【欠点】 これはかなりadvanced用だということ。初めてやるにはタフすぎると思います。僕の場合、初めて用いた参考書がPreTestのPathologyだったので正直辛かったです。内科や基礎の基本的知識がある人なら良いと思いますが、そうではない人にはあまりお勧めしません。
またマニアックな問題も多く見受けられますが、そういう問題は本番で実際には出題されなかったです。
全教科一通り勉強が終わって苦手教科の問題集として選んだりする分には良いと思います。僕は最後の1カ月のときにpathologyを復習しましたが、この時期になると比較的スムースに解けました。
(6) 受験関連書類と一緒に送られてくるサンプル問題(問題集)……評価:☆☆☆☆☆
ECFMGに願書を送ると1カ月ほどで、サンプル問題が150題入ったCD-ROMが送られてきます。パソコン上で本番とまったく同じ形式で問題を解くことができます。本番の難易度はこのサンプル問題と似たようなものだったので、これは勉強の良い指標になるはずです。但し、本番の問題はサンプル問題に比べ問題文章が長く、時間的には本番の方がきついです。
ECFMGから届き次第すぐにといてみることをお勧めします。本番直前までとっておこうと出し惜しみせずに!! サンプル問題にかなり似た問題も本番出題されていました。
【欠点】 特になし。
(7) NMS Review for USMLE Step 1 Examination(問題集)……評価:☆☆☆
一般的に評価の高い本。ですが僕はあまり好きではありません。僕は前半の半分だけ使いました。教科ごとに章が分かれているのではなく、全て総合問題(全教科が混合された問題)です。1章50問で構成され、それが約20章あります。問題の難易度は結構高めですが、PreTestほどではないと思います。解説は丁寧な方です。問題を多くこなしたい人には良い本ではないかと思います。
【欠点】 総合問題なので直前の確認用には適するけど、勉強初めの段階には適さない。難易度が高めである。

以上の評価は100%僕一人の主観に基づくものです。First Aid の後半に各教科の参考書・問題集がまとめて紹介されています。評価も書いてあるのでそれが最も客観的な指標になると思います。

最後に、このレポートが少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。STEP 1の受験勉強を通してきっとメキメキ知識が増え、やってくうちに(人によっては)楽しくなってくと思います。頑張ってください。


2003 M2のぺーじ