2005 M4のぺーじ

アレルギー・リウマチ内科 2004年問題(再現)と解答解説

おことわり。このシケプリは、過去のシケタイのみなさまの作成されたものに基づいています。(2005年度アレルギー・リウマチ内科シケタイ)

関節リウマチ

1. 10年来の関節リウマチ患者が両手のしびれを訴え、来院した。考えられる病態と、その鑑別について述べよ。

(テーマ)膠原病患者合併症、症状から考える鑑別疾患

大まかに分けると、次の3つの原因が考えられえる。

以下、それぞれについて説明する。

RAによる神経症状

基本的には骨、関節変化が原因の絞扼症候群。具体的には以下のとおり。

具体的には症状(左右の痺れの違いの有無)やX線での骨変化が参考になる。両側である事から、この中では環軸椎亜脱臼が最も考えられる。

RA類縁疾患による神経障害(多発性神経炎)

主にRAに合併する疾患は血管炎とシェーグレン症候群。この二つによって多発性神経炎が起こりえる(両手の痺れと矛盾しない)。この二つの疾患の精査(血管炎⇒P-ANCAなど、SJS⇒Schirmer試験、耳下腺造影など)その他、SLEなどについても必要なら精査する。

RAと関係ないもの

(1)、(2)が違う場合、RAと関係しない末梢神経障害(ニューロパチー)が考えられる。手に限局する事から、以下が候補に挙がる。

それぞれについて必要に応じ鑑別(DM⇒血糖値、HbA1cなど)を行っていく。

寒冷凝集素とクリオグロブリン

寒冷凝集素とは何か? どういう病態でみられるのか。

クリオグロブリンとは何か? どういう病態でみられるのか。

(テーマ)血液分野での自己抗体(寒冷凝集素、クリオグロブリン)。ともに、0〜4度といった低温で最も反応性を持つ自己抗体。血中で悪さをする。

寒冷凝集素

自己の赤血球膜に対する自己抗体の一つで、そのうち低温で良く反応する「冷式抗体」の一つ。クラスがIgMである。自己免疫性溶血貧血(AIHA)の一種である寒冷凝集素症(CAD)で見られる。この病気では、寒いところにいると寒冷凝集素が反応し、溶血を起こす。

クリオグロブリン

0〜4度の低温で可逆的に凝固し、乳白色の沈殿を生ずる血清蛋白。多くの場合IgGやIgMといった免疫グロブリンを含む。クリオグロブリン血症の際血中に存在する。寒いところにいるとクリオグロブリンが沈殿し、じんま疹やRaynaud症状を引き起こす。

喘息の治療薬

喘息の治療薬を3つ以上述べ、それぞれの薬理作用と使用する病態について述べなさい。 (解答欄はA4半分のスペース)

(テーマ)気管支喘息の治療薬

かつて喘息は「気道の狭窄」であると定義されていたが、近年では「気道の炎症」であり、狭窄はその結果に過ぎないという考え方が強くなっている。それにあわせ、かつては「気道拡張薬」のβ受容体作用薬が主だったのに対し、現在は吸入ステロイド(抗炎症薬)が主になっている。

参考:近年の喘息治療戦略

近年、喘息を慢性期(長期管理時)と急性増悪時に分け、それにより治療法を返る方法が提唱されている。その中では急性期、慢性期ともに更に4段階に分け、それに応じ薬を変える。慢性期では患者は携帯型ピークフローメーターを使い自分で重症度を知り、それに応じて使う薬や病院にいくか決める「自己管理」を行っていく事が推奨されている。

(参考文献)


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