2004 M3のぺーじ

2004年度M4胸部外科卒業試験(2004年9月29日実施)

おわび:X線写真などの画像がきれいに取り込めず、悪戦苦闘している状態です。いましばらくお待ちください。

問題1

患者は56歳男、5年前に突然の背部痛を経験し、近医で降圧療法にて経過観察されていた。最近、胸部X-Pで左第1弓の突出とその陰影から下方に連なる陰影の拡大が認められるようになった。近医からの紹介で手術適応について本院外来を受診した。(問題1の図1を参照)(20点)

a. 外来で本病態を知る上で何を検査したらよいか。

b. どの所見があれば手術の適応となるか。

c. 手術を安全に施行するために、他にどのような検査をすべきか。

d. もっとも考えられる診断はなにか。

e. この疾患に関してもっともありうる手術の術式を説明せよ。

問題2

2〜3分間持続する前胸部圧迫感を主訴とする58歳男性。冠状動脈造影では左冠状動脈主幹部に75%狭窄、左前下行枝の近位部に90%狭窄,第1対角枝の起始部に50%狭窄、回旋枝の鈍縁枝の近位部に90%狭窄、右冠状動脈Segment 3の遠位端に75%狭窄を認めた。左室造影では前壁〜中隔にsevere hypokinesisを認めた。心臓以外の臓器に重大な障害はない。(20点)

a.本症例において最善と思われる治療法は何か。

b.aの理由について述べよ。

c.バイパス手術のグラフトとして適切と考えられるものは何か。(複数必要な場合にはバイパス部位別にのべよ)

d.cの理由について述べよ。

問題3

図は心室中隔欠損症に対して、人工心肺下、心停止下に右房切開を行い、三尖弁経 由で心室中隔欠損孔(VSD)を観察している、surgeon's viewです。図左が患児頭側、 右が尾側です。三尖弁輪(図中央の円)の裏側に弁輪に接して欠損孔(VSD)が確認されます。AL、SL、PLは各々三尖弁の前尖、中隔尖、後尖を、CSは冠状静脈洞を示します。以下の問いに答えなさい。(問題3の図1を参照)(20点)

(1) 本例におけるVSDの位置はKirklin分類、I〜IV型のいずれであるか、根拠を説明しなさい。

(2) 図中に本例における刺激伝導系の想定される走行部位を破線で示しなさい。

(3) パッチ閉鎖に際して刺激伝導障害を生じた場合の病態と治療法について解説しなさい。

問題3の図1

問題4

以下の症例に関して、設問に答えなさい。(20点)

75歳女性。労作時前胸部痛にて近医を受診した。胸部X線写真撮影を行なったところ、図1の所見が認められたため、当科に紹介された。胸部CT撮影撮影(図2、3)およびFDG-PET検査(図4)を行なった。既往歴:30歳〜70歳タバコ1日20本の喫煙歴あり。高脂血症、高血圧症を指摘されている。(問題4の図1、2、3、4を参照)

入院後経気管支肺生検を行なったところ、肺内腫痛から腺癌組織が検出された。

(1) 画像所見について説明し、診断・原発巣の部位・TNM分類・病期について明らかにしなさい。

(2) この症例における治療方針について述べなさい。

(3) 予後(5年生存率)はどの程度か述べなさい。

問題5

以下の症例について設問に答えなさい。(20点)

25歳男性。自宅で急に右胸痛および労作時呼吸困難が起こったため、救急外来を受診した。3カ月前にも同様の発作があったが、安静にしていたら3日ほどで症状が消失したので放置してあった。既往歴:特記すべきことなし。一般血液・生化学検査所見:特記すべきことなし。(問題5の図1、2を参照。図1は来院時の写真、図2は救急外来での処置後の写真)

(1) 来院時の胸部X線写真(図1)をもとに、診断を行ないなさい。

(2) 救急外来で行なわれた治療目的の処置は何か。図2を参考にして答えなさい。

(3)この処置を行ったが、呼吸困難は増悪し、30分後にピンク色の泡沫痰を多量に喀出した。病態について説明しなさい。

(4) 次に行なうべき治療について述べなさい。


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